飲食店の貸店舗で聞く重飲食と軽飲食について

■重飲食と軽飲食の違い

飲食店を開業するにあたり、貸店舗を利用される方はとても多いと思います。
不動産会社などに行くと貸店舗の情報を教えてもらうことができます。
その際に、物件の入居可能業種欄に「重飲食」や「軽飲食」と記載されていることがあります。
そんな重飲食と軽飲食の違いについて説明したいと思います。

【重飲食とは】

本格的な調理を行う飲食業種を指しています。
業務用のガス台をはじめ、業務用の調理機器、そして大量の煙を排出するための排煙設備とダクトなどを備えた飲食店です。
代表的な重飲食が「焼肉」「中華料理」「居酒屋」などです。
特に他の料理よりもたくさんの油と火を使用する中華料理は、重飲食の代表とも言えるでしょう。

【軽飲食とは】

重飲食とは対照的に本格的な調理を行わない飲食店を指しています。
カフェやバーなど、飲み物を中心に提供する飲食店です。
温める程度の食事を提供したり、サンドウィッチなどの軽食を出す飲食店が軽飲食となります。

ただ、重飲食と軽飲食は明確な定義がありません。
そのため、大家さんによっては「重飲食は不可」としていたとしても「可」になることもあります。
重飲食はNGにしている貸店舗は結構あるものです。
なぜ軽飲食はOKで重飲食はNGなのか、その理由を説明したいと思います。

【重飲食がNGな理由とは】

1.物件の大家さんの意向

重飲食の場合、大量の煙が出たり、大量の油を使用して調理を行うことから、建物が傷みやすいと考えられています。
それを避けたいがために、物件の大家さんが重飲食をNGにしていることが多いようです。
また、重飲食の場合、調理中の臭いや煙が外に漏れることから、近隣住民や他の店舗から苦情が来ることを避けたいと考える大家さんもいらっしゃいます。

2.物件の設備上の問題

重飲食にはさまざまな設備が必要になります。
電気容量をはじめ、給排水、ガスや空調などの設備を整えなくてはならないことから重飲食をNGにしていることもあります。

■重飲食の設備や条件について

重飲食の定義は、ラーメン、中華、焼肉、焼き鳥、鉄板焼きなど油や火を使う調理が多く、煙やニオイが出やすい業態です。
洋食やイタリアン、和食、フレンチなどのいわゆるレストラン系も重飲食に含められてしまうこともあります。
重飲食とされる飲食店の設備は、コンロ・オーブン、フライヤーといった熱機器をはじめ、業務用の冷蔵庫や製氷機、そして多量のガスや電気が必要です。
また、調理で発生した臭いや煙、熱気を屋外に出すための空調設備が必要になります。

重飲食可の貸店舗であっても、設備工事については入居者負担になることがあります。
重飲食の飲食店も入居可能ですが、その分借主側が負担して工事を行うように言われるケースは決して少なくありません。
そうなると高額な工事費が掛かってしまう可能性があります。
重飲食に該当する飲食店を開業するのであれば、できれば居抜き物件であったり、電気・ガスなどの工事を大家さん負担で行ってくれる物件を探すことをおすすめします。

■まとめ

開業する飲食店が重飲食になるのか、軽飲食になるのかは既に明確だと思います。
ただ、軽飲食だと思っていても重飲食とみなされる場合がありますから、事前に不動産会社に確認するようにしましょう。
重飲食だからと懸念している大家さんであっても、懸念事項への防止策・解決策が認められれば、入居が許可されることもあります。
「煙や臭いのクレーム」「夜間の騒音クレーム」「建物への悪影響」など、借主がその防止策や解決策を考えなくてはならないのですが、恐らくそれにも限界があるかと思います。
その場合は、専門知識を持つ内装会社に協力を依頼するなどもおすすめです。
それでも難しいと思ったら、その物件を候補から外して重飲食可能と最初から謳っている物件を探すことをおすすめします。