テナント契約時のいろいろなお金の話

■権利金について

テナント物件を探していると「権利金」という言葉を目にすると思います。
権利金とは、テナント物件などの賃貸借契約を結ぶ際に、一時金として賃貸人に支払うお金です。
テナントを借りて開業する利益の対価として支払うものだと解釈して良いでしょう。
敷金と似たようなものとして挙げられるのが権利金です。
敷金は債務不履行が無ければ、退去する際に全額返金されますが、権利金は返金されることはありません。
テナント契約時に支払うお金がもう一つあります。それが礼金です。
礼金は権利金と同じようなものという扱いをされています。
しかし、権利金と礼金は本質的な部分で違いがあります。
確かに権利金も礼金も、テナント契約時に一時金として支払われるものですし、敷金や保証金のように退去時に返還されません。
そういった共通点があることで同じように扱われているのだと言えるでしょう。
では双方の違いはというとどのような点でしょうか。
権利金は先程説明したように「開業する利益の対価」です。
礼金は貸主に対して支払うお礼です。
一般的な住まいとなる賃貸物件に権利金はありません。
それは営業目的の事業用の利用ではないためです。

権利金の返還はないと説明しましたが、一部だけ返ってくる場合もあります。
一般的に賃貸契約の契約期間は決まっています。
その期間に対しての権利金のため、仮に途中解約をした場合は一部のみ返還されると考えて下さい。

権利金は物件によって金額に差があります。
立地が良く、設備も充実しているなど魅力のある物件は対価性が高いため権利金もそれ相応になります。
逆に魅力のない物件は権利金も少なくなるでしょう。
支払う権利金が高額であっても、それ以上のメリットを回収できると考えられるのであれば良いと思います。
テナント物件であっても権利金がない場合も多々あります。
権利金がある物件とない物件では経費にも違いが出てくるので、それを考慮して選ぶことが大切です。

■造作譲渡金について

テナント物件において良くある「居抜き物件」。
特に飲食店に多く見られます。
内装、厨房設備、空調設備などそのまま残されており、すぐにお店をオープンすることが可能です。
そんな物件を契約する際に必要なのが「造作譲渡金」です。
内装や厨房設備、空調設備といった設備を借主が買取るための費用のことです。
居抜き物件の場合、テナント物件の賃貸借契約とは別に、その物件の前の事業主と「造作買取」契約を結ぶ必要があります。

【造作譲渡のメリット】

前の事業主が高い費用をかけて作り上げた設備や内装をそのまま使用することで、初期費用を抑えることができます。
通常であれば高額なコストがかかる工事を削減することができるのは大きなメリットであると言えるでしょう。
また、開業までの時間を短縮できるのもメリットの一つです。
内装工事や設備工事は予想よりも時間がかかるものです。
その時間を短縮することができるためすぐに開業することが可能です。
そしてもう一つ、メリットとして挙げることができるのは以前のお店の顧客を引き継げる可能性があることです。
飲食店に限りますが、同じ場所に別の飲食店が出来れば、当然以前のお店に通われていたお客さまを取り入れることが可能です。

【造作譲渡の注意点】

造作譲渡はメリットだけでなく、注意しなくてはならないこともあります。
せっかくの設備が壊れていたり、何らかの不具合があることがあります。
造作譲渡、つまり居抜き物件を契約する前に、まずはそういった設備の確認をしなくてはなりません。
そしてもう一つ、確認しなくてはならないことがあります。
それは「設備がリース契約でないかどうか」です。
設備をそのまま使用するつもりであっても、リース契約だとリース会社が持って行ってしまう可能性があります。
設備は前の契約者の物なのか、それともリース契約なのかをきちんと確認することが大切です。

■まとめ

テナントの契約には敷金・礼金・仲介手数料だけでなく、権利金や造作譲渡金が発生することもあります。
権利金や造作譲渡金は物件によって違いがあります。
権利金も造作譲渡金もある物件とそうでない物件があります。
それにより経費にも違いが出てくるので、良く考えて契約するように心掛けましょう。